香水の都グラース 世界に誇る香水産業

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☆歴史
☆観光案内
☆香水工場・調香体験
☆花畑見学
☆オリーブオイル
☆イベント
☆お勧めレストラン
☆ホテル
☆アクセス
☆リンク

*こちらのページは、観光ガイドの代わりとすることが目的ではなく現地ガイドの経験から便利で役に立つ情報を提供できたらという思いから作りました。
*お勧め情報はステファニーの個人的な意見です。

カンヌ国際映画祭で有名な南フランスのカンヌから20キロ内陸に入った山沿いに、香水で有名な街グラースがあります。

街に入ったとたん、どこからともなく良い香りがします。少し歩くとまた別の香りがするので、街の至る所に香水工場がある様です。
調べてみると、グラースには香水に関わる企業が60もあって、3500人もの雇用を生み出しているらしいのです。

グラース市の公式スローガンは「世界的香水の首都!」これも大げさではない様で、グラースの香水産業はフランス全体の香水産業の収益の50パーセントを占め、世界全体の収益の10パーセントをも占めるという数字がでています。

☆歴史

フランスのグラースで香水が街の主要産業になったのは18世紀の終わり。その前まではなんと、革なめしが主要産業だったのです。
グラースで生産される革製品は質が大変良く、特に 革手袋が裕福な上流階級の婦人達に人気でした。しかし革手袋の欠点は、その臭い。手袋を外した後もしつこく手に残るので困る、という意見が婦人達から聞か れました。そこである なめし職人が香水つきの革手袋を考えつきました。早速商品化したところ、それが大人気商品となりました。

こうしてしばらく「香り付き革手袋のグラース」として名が売れましたが、革製品の税があがったことや、ニースの台頭によって競争力を奪われたことなどが原因で革なめし産業は衰退し、香水産業だけが後に残ることとなります。

グラースでは南仏らしい香り高い花々が生産されています。その代表格といえば、ラベンダー、ジャスミン、ローズ・センティフォリアという種類のバラ、野生オレンジの花、ミモザなどでしょう。

香水の主な原料となるジャスミンの生産は特に盛んでした。ジャスミンの香りは日の出とともに最高になります。生産者はその瞬間を狙って一つ一つ手作業で花を摘み、素早く工場に運び精油を抽出するのです。そんな田園光景が70年代頃までは当たり前に見られました。

当時の香料会社の様子がこちらでご覧になれます。

しかし変化は起こりました。
70年代から80年代にかけて大規模な外資企業が進出してきて、古くから続くファミリー企業を買収し始めたのです。
買収もとの企業は進んだ科学技術を持ち込み、グラースの企業は伝統とノウハウを提供しました。
結果、昔ながらの原材料の生産による収益が現在では半分以下になり、合成香料(とくに食品香料)の生産に取って代わられました。

近年のフランスでは人件費の安い海外に産業が流れがちです。
そんな中でもグラースの香水産業は生き残りをかけて柔軟に変化している、とても良い例なのではないでしょうか。

☆弊社ではグラースで香水作り体験と香水工場巡りができる1日ツアーをご提供しています。

マイコートダジュールのグラースと香水ツアーへ

☆観光案内

グラースの旧市街地の中心には、他のコートダジュールの村々と同じように車で入ることができませんので、パレ・デ・コングレ(会議場)前のオノレ・クレスプ広場(cours Honoré Cresp)の駐車場や 旧バスターミナル横の駐車場などに車を止めて歩いてまわることになります(土曜日は1日無料)。電車の駅にある駐車場は無料(Parking Relaisはバスや電車に乗った時のチケットを出る時に見せれば朝6:30から21:30まで無料で駐車可能)ですので、駅に駐車して FUNIXというバスで旧市街地まで1.50ユーロで上がってくることも可能です。なおメインのバスターミナルは2012年夏から旧市街地から電車の駅の横「Pôle intermodal 」へ移動になり、旧バスターミナルはビュアンドリ広場(洗濯場広場:place de la Buanderie)と呼ばれるようになりました。ニース-グラース間のバスは以前と同じように旧バスターミナルが現在(2013年 1月)も終点となっています。2013年8月にこの広場に観光案内所がオープンしました。こちらで、地図と香水会社のブティックの割引券をもらっておくといいでしょう。

vielle villeグラースの旧市街地を見て回るのはだいたい徒歩で1時間ぐらいでしょう。博物館や美術館もまわると半日、旧市街から離れた香料工場の見学や香料作り、お花畑を見学する場合は、一日過ごすこともできます。18世紀の貴族の邸宅 や香料会社が旧市街地の中や周りに残っていて、美術館などは貴族の邸宅を使っている所があるので、当時の雰囲気を見学することができます。香料産業が盛んだった頃、旧市街地は人口過密だったため道路を狭くして住宅を増築していたため道は比較的細くなっています。坂道が多く滑り易いので歩き易い靴を履かれることをお勧めします。旧市街地の地下には、当時の有力な香料会社の社長が自分用に作った通勤用の地下道が今でも残っていたりするそうです。

メリーゴーランドが常設されているオノレ・クレスプ広場(cours Honoré Cresp)からはカンヌや地中海が見渡すことができ、お勧めの場所です。

パレ・デ・コングレの前の道Jeu de ballonを上がって行くと右手に国際香水博物館(MIP:Musée International de la Parfumerie)があります。2008年に改装が終わり再オープンし4階に渡り5万点の香りに関するコレクションがあります。見学は4階からスター トし、出口は1階です。展示してある物やビデオを見ながら世界における香りの歴史をたどったり、実際に様々な香りを楽しむことができます。マリー・アント ワネットのために作られた旅行用の化粧箱やアンティークの香水のビン、昔ながらの香水を作る道具などが展示され昔と今の香水の作り方も知ることができます。残念ながらまだ日本語のガイドはないのですが、英語で説明を読むことができます。入場料は4ユーロ(臨時展示がある場合は5ユーロのこともあるそうです)。

博物館の出口を出て左に坂を少し下がるとCafé des Muséesがありいつも観光客でにぎわっています。カフェのある角を左に曲がると旧市街地に入ります。カフェの目の前にフラゴナールのブティック(観光案内所でもらった割引券を提示すると10%引き)があり、さらに少し下がるとフラゴナール歴史工場香水美術館がありこちらでも香水の歴史を英語のガイド付きで無料見学できます。

フラゴナールの工場を出て右にある階段を少し下がった所にプロバンス美術・歴史博物館があり、こちらも無料見学できます。フランス革命の立役者ミラボーの妹の夫クラピエ・カブリス伯爵が建てさせた邸宅で当時の様子が今でも伺えます。
カフェが角にある道(rue Jean Ossola)に戻り旧市街地へ入って行くとプロバンス民族衣装・宝石博物館があり18、19世紀の衣装やアクセサリーを見学できます。2016 年末にオープンしたフルーツの砂糖漬けやチョコレートの専門店フロリアン(Florian)のブティックもあります。さらに下って行くとラベンダーや石けん、生地屋さん、カフェなどがあり、薬局の手前にあるMaison Venturiniという小さなお菓子屋さんでグラースの名物のオレンジの花の香りのするブリオッシュ「フガセット(Fougassette)」を買うことができます。

薬局の前の道を右に入ると大聖堂へ着きます。その手前の邸宅に1815年エルバ島からパリへ向かう途中ナポレオンが立ち寄ったと言われています。
notre dameノートルダム・デュ・ピュイ大聖堂については、12世紀に一番古い記録があり、イスラム教徒たちの侵略にあっていたアンチーブから司教区を13世紀にグラースに移動させ発展してきました。丘の上にあり、敵から身を守りやすいことからグラースはここから始まったと言われています。大聖堂の中に入って右手にはルーベンスの絵画が3点展示されています。フラゴナールの作品の中では珍しい宗教画「洗足」は、お見逃しなく。
13世紀に建てられた市役所の塔が横にあり、さらに奥へ行くと8月24日広場(place du 24 Août)から素敵な景色が見られます。

Rue Jean Ossolaを先に進みRue de l’Oratoireを左に上がりきると左手にあるSalon de Thé(ここではフルーツの砂糖漬けやショコラがお土産に売っています。バラの紅茶やショコラショーがとても美味しくてお勧めです)の手前を左に曲がるとエール広場(Place aux Aires)がありここにもお土産屋やレストランがあります。2014年8月に老舗香水会社モリナールのブティックが、そして、2018年にMicallefという香水のブティックがオープンしました。このブティックは20年ぐらい前からあるオリジナル香水メーカーのブティックです。特に香水の瓶(フラコン)が素敵で私のお気に入りです。マダムMicallefが作ったもので、香水の瓶をご自身でデザインするアクティビティも行っています。

革なめし業が盛んだった頃は、この広場で作業が行われていたそうです。
広場を左に上がるとJeu de ballon通りに出るので、下っていくとオノレ・クレスプ広場に戻ります。広場から駐車場に入る階段を下りて行くと、右手下に「フラゴナール美術館」があります。この美術館には、1732年グラース生まれのロココ時代の代表的な画家ジョン・オノレ・フラゴナールが当時のフランス国王ルイ15世の愛妾デュ・バリー夫人の依頼によって制作した4連作「恋の成り行き」の複製画やその家族が描いた作品が展示されています。入場料無料です。

grasseナポレオンの妹のプランセス・ポーリンヌが散歩に来ていたというプランセス・ポーリンヌ公園が旧市街地から更に上がった丘にあって、眺めは 素晴らしいです。徒歩では30分ほど急な階段や坂を上がっていくことになります。

またグラースには、ヴィクトリア女王やロスチャイルドファミリー、フランスの歌手のエディット・ピアフも滞在していました。大聖堂は日本のドラマの撮影で使われたこともあります。

☆香水工場・調香体験_DSC6782

19世紀末に火を使って香料を作るようになり、香料工場は旧市街地から離れた所に移動しています。香水を作る体験ができる香料工場は、旧市街地から徒歩かバスで行きます。
・モリナールMolinard は、オノレ・クレスプ広場かVictor Hugo通りを徒歩で15分程下っていくと右手にあります。無料の工場見学と体験(有料)ができます。

・ガリマールGalimardの香水作り体験ができる工房は、旧バスターミナルから20番のMouans-Sartoux行きバス、もしくは600番のカンヌ行きのバスに乗り「Quartre chemins」下車(10分程度)、ロータリーを右に曲がりすぐの左側にあります。こちらの工房には、日本語対応可能なガイドさんがいるので、予約をされる際に日本語でのセッションを希望されるとよいでしょう。セッションの終わりには、ご自分の香水を持って帰ることができ、調合されたオリジナルレシピはガリマールに永久保存されるため、日本からインターネットで同じ香水を注文することができます。

無料の工場見学は、同じバスでさらに下り「LES FLEURS DE GRASSE」下車(20分程度)さらに徒歩で下ると左手にある工場で可能です。

・Fragonard工場の無料見学は、同じバス停で下車しマクドナルドの2つ先の道を下っていくか、同じバスで「Quartre chemins」の次のバス停「LE NEROLI」下車3分程道を戻ると、右手にある工場で可能です。

☆花畑見学

香水の原材料である花を生産している畑を見学することが可能です。
Domaine de Manon 住所 36 Chemin du Servan – 06130 GRASSE Plascassier クリスチャンディオールの香水の原料のお花を栽培しています。花栽培について様々な説明をしてくれ、花摘み体験ができます(フランス語のみ)。説明の後、畑で作られた無農薬のバラやジャスミンのジャムなどを買う事ができます。
ローズ・センティフォリア(5月初-6月中旬頃):とても香りの豊かなバラです。個人での見学は火曜日の10時 (入場料6ユーロ)
ジャスミン(8月初-10月中旬頃)個人での見学は火曜日9時(入場料6ユーロ)
アクセス:旧市街地からはFunixバスで電車の駅横のバスターミナルまで行き、17番のCimetière de Plascassier行きバスで「Grasse Plascassier」下車、徒歩3分程度です。このバスは始発が9時30分着なので、ローズの見学のみ可能です。ジャスミンは、車で行かれた方がよいでしょう。

国際香水博物館(MIP)の庭園・花畑 住所 979 chemin des Gourettes 06370 Mouans-Sartoux
グラースの隣村Mouans-Sartouxにあります。
ローズ・センティフォリア、ラベンダー、ジャスミンなど香料に関係するお花や植物がたくさん。ピクニックができるテーブルもあってゆっくり過ごせます。
5月にはローズ・センティフォリアのイベントがあって、バラを好きなだけ持ち帰れるので、地元の人たちに人気です。

行き方は、旧バスターミナルから20番のMouans-Sartoux行きバスで「Les jardins du MIP」下車(40分)1分、もしくは600番Cannes行きバスにのり「Les Gourettes MOUGINS 」下車(30分)から徒歩5分。

☆弊社ではグラースで香水作り体験と香水工場巡りができる1日ツアーをご提供しています。ご希望のお客様には、国際香水博物館(MIP)の庭園・花畑や香水工場へもご案内できます!

マイコートダジュールのグラースと香水ツアーへ

・Au Pays d’Audreyでは訪問だけではなく様々なアクティビティも豊富です。子ども向けのものもあるので、お子様連れのファミリーにおすすめです。アクセスは車でのみです。

☆オリーブオイル

Huilerie Sainte-Anne 住所138 Route de Draguignan 06130 GRASSE
月曜-土曜9:30-12:30 / 14:00-18:00
オリーブを伝統的な木の歯車装置によって動く石のひき臼でつぶして作っている所を見学できます。
アクセス:旧市街地から1時間半から2時間に1本出ている30番のバスに乗り「Pont de Sainte Anne」下車(15分程度)徒歩

Moulin à huile du Rossignol 住所 41 Chemin des Paroirs 06130 GRASSE
月曜-土曜9:00-12:00 / 15:00-18:00
1760年に作られたオリーブオイルを作るひき石があります。現在は、洗練された新しい器具を使って作っています。オリーブオイルなどを作っている所を見学できます。
アクセス:旧市街地から徒歩30分程度に位置し、バスだとバス停「Palais de Justice」から徒歩で15分以上かかり、少し分かりにくい所にあります。車で行かれた方がよいと思います。

Moulin d’Opio 住所2, route de Châteauneuf 06650 OPIO
グラースの隣村に位置し、1848年から受け継がれ7代目のオリーブオイル屋で、オリーブオイルを作っている所を見学できます。
4月-9月 月曜-土曜9:00-12:30 / 14:00-19:00 10月-3月 月曜は午前のみ 火曜-土曜9:00-12:30 / 14:00-18:30
アクセス:夕方ですと500SのRoquefort行きバス1本で「Giratoire d’Opio OPIO」下車(30程度)し徒歩5分程度で行けるのですが、日中はバスを乗換えて行かなければいけないので車で行かれた方がよいと思います。

☆イベント

グラースでは、毎年カンヌ映画祭の時期にバラ国際展示会(ExpoRose エクスポローズ)が開かれ、旧市街がバラで飾られます。

8月頭には、ジャスミン祭り(la fête du jasmin)が 開かれ、パレードがあります。

☆お勧めレストラン

・エール広場(Place aux Aires)にあるLa Voûte では夏の間はテラス席でゆっくり食事ができます。
・旧市街地から南に1キロ程度の所にla bastide Saint Antoine Jacques Chiboisのミシュランガイドで1つ星レストランがあり、味も雰囲気もとてもよいです。ご予約されることをお勧めします。

☆ホテル

・高級ホテルは、ジャック・シボワ氏のレストランのある建物に5つ星ホテルLa Bastide Saint Antoineがあります。
グラース旧バスターミナルから20番のMouans-Sartoux行きバス600か610のCannes行きバスで「Le Collet GRASSE」下車 (10分程度)し、徒歩10分(バス停からさらに坂を下り、一つ目の道を右、突き当たりを左に行くと右手に入り口があります)
BEST WESTERN Hôtel Elixir grasseは4つ星ホテルで、奇麗でサービスもよいと思います。
グラース旧バスターミナルから20番のMouans-Sartoux行きバスで「Les Abattoirs GRASSE」下車(15分程度)し徒歩3分

☆アクセス

・電車:カンヌからグラース行きで終点です(カンヌから45分程度)。1〜2時間に1本程度ですので事前に時刻表を確認された方がよいでしょう。時刻表はこちら
電車の駅から旧市街まではFunixという花柄のバス(1.50ユーロ)で15分です。月曜から土曜の5時45分から20時15分まで15分毎に運行運行しています。時刻表はこちら

・ バス:ニース市内Meridienホテルの前の 「アルベール・プルミエ」バス停「Albert 1er」から500番のGrasse行きバスで終点(1時間30分〜2時間程度)1.50ユーロ、時刻表はこちら
カンヌ駅前から出ている600番か610番のGrasse行きバスで終点(50分程度)時刻表はこちら

☆リンク

グラース観光案内所英語 (Source de photos)
香水の老舗フラゴナールにフラゴナールについての記事を書いています

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