コートダジュールの魅力

☆コートダジュールの気候
☆優雅なる避寒地、芸術家たちの憩いの地
☆秋冬のコートダジュール
☆オリーブオイル作りの見学

☆コートダジュールの気候

コートダジュール（Côte d’Azur）―この紺碧の海岸という響きは、1888年に作家ステファン・リエジャールが著した旅行記『ラ・コート・ダジュール』に由来します。カンヌやニースを擁するヴァール県から、アルプ＝マリティーム県、そして公国モナコまで続く地中海沿岸の輝かしい一帯を指し、イタリアやイギリスではフレンチ・リヴィエラの愛称でも親しまれています。

北海道と同じ緯度に位置しながらも、地中海性気候に恵まれたコートダジュールは、冬季でも穏やかな気温が続きます。年間を通じて降雨が少なく、フランス随一の日照時間を誇るこの地域は、まさに太陽の恵みを存分に受けた楽園といえます。

Niceの気候 – 海抜4m地点
月	1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月	8月	9月	10月	11月	12月	年間
平均的最低気温 (°C)	5.3	5.9	7.9	10.2	14.1	17.5	20.3	20.5	17.3	13.7	9.2	6.3	12.4
平均気温 (°C)	9.2	9.7	11.6	13.6	17.4	20.9	23.8	24.1	21	17.4	12.9	10.1	16
平均的最高気温 (°C)	13.1	13.4	15.2	17	20.7	24.3	27.3	27.7	24.6	21	16.6	13.8	19.6
日照時間 (時間)	158	171	217	224	267	306	348	316	242	187	149	139	2 724
降水量 (mm)	69	44.7	38.7	69.3	44.6	34.3	12.1	17.8	73.1	132.8	103.9	92.7	733

参照 : Données climatiques officielles à Nice (moyennes mensuelles sur la période 1981-2010)

春には気温が最低8～14度、最高15～20度まで上昇し、観光シーズンの幕開けを告げます。3月末から10月末までのサマータイム期間中は、特に夏至の6月21日には夜10時まで陽光が降り注ぎます。6月は最低17.5度、最高24度前後、7・8月は最低20度、最高28度ほどで、乾燥した気候により日陰は心地よい涼しさを保ちます。

8月末から秋にかけては雷雨の季節を迎えます。9月は暑さも和らぎ、最も快適な時期を迎えます。10月から11月は雨季となり日照時間も短くなりますが、この時期の降雨は貴重な水源となります。10月は日中なお20度まで気温が上がることもあり、海水浴を楽しむ人々の姿も見られます。

冬季は穏やかで、12月の気温は最低6度、最高14度ほど。雪のないクリスマスを迎えます。最も寒い1月でも最低5度、最高13度程度で、日中は太陽の恩恵で気温も上昇します。沿岸部では霜も珍しく、雪はめったに見られませんが、車で2時間ほどの距離にあるアルプス山脈では、スキーを楽しめる本格的な雪景色が広がります。2月の気温は最低6度、最高13度ほど。温暖な気候を反映して、街のショップでもロングコートはほとんど見かけず、手袋や毛糸の帽子も不要です。ブーツを履く機会も数日程度と、冬の装いも軽やかです。

☆優雅なる避寒地、芸術家たちの憩いの地.

温暖な気候に恵まれたコートダジュールは、18世紀からヨーロッパ各国の王侯貴族が冬の保養地として選び始め、特にイギリスやロシアの上流階級が越冬の地として愛しました。19世紀末には、ヴィクトリア女王をはじめとするヨーロッパの王族や貴族がニースに集うようになり、その時代を象徴する豪華絢爛なネグレスコホテルもこの時期に建設されました。

1925年以降は夏季の観光地としても脚光を浴び、戦後には富豪や著名人、芸術家たちが次々と訪れるようになります。ルノワールやマチスは療養のため冬をこの地で過ごし、当時は「コートダジュールでの越冬が長寿をもたらす」とまで言われました。さらに、シャガールやピカソといった20世紀を代表する芸術家たちもこの地に魅了され、定住して創作活動を展開。彼らの足跡は現在、この地に点在する美術館という形で豊かな文化的遺産となっています。

☆秋冬のコートダジュール

秋冬のコートダジュールは、夏春に比べて降雨が多く気温は低めながらも、フランス一の日照時間を誇る温暖な気候が魅力です。観光客が比較的少ないこの時期は、美術館巡りや街歩きをゆっくりと堪能できます。夏場は混雑するエズ村やサンポールの絶景スポットも、冬は貸切状態で写真撮影を存分に楽しめます。

費用面でも秋冬は魅力が満載です。クリスマスやカーニバルシーズンを除く秋冬期は、航空運賃が夏のピークシーズンと比べて大幅に抑えられます。宿泊費も名門ネグレスコホテルを含め、夏季に比べて格段にリーズナブル。より贅沢な滞在を手の届く価格で楽しめるのも、秋冬ならではの特権といえます。
名門ホテルをはじめとする宿泊施設は、クリスマスとカーニバル期間を除く秋冬シーズンには、格段にリーズナブルな料金で滞在を楽しめます。ゆとりのある予算で、より上質なホテルでの滞在が叶うのも魅力です。さらに、観光客の少ないこの時期は、ホテルやレストランのスタッフにもより丁寧な対応を期待できます。

秋のコートダジュールでは、紅葉の美しい景色とともに、キノコ、トリュフ、栗、ジビエなどの季節の味覚を堪能できます。冬は12月のクリスマスマーケットで賑わい、1月半ばから2月初めにかけての冬のセールシーズンはショッピング好きには見逃せません。2月半ばからは華やかなニース・カーニバルとマントンのレモン祭りが開催され、冬の観光シーズンを彩ります。

フランスの伝統的な砂糖菓子工房フロリアン(Florian)では、冬季限定で、コートダジュールを代表する柑橘類の砂糖漬け（フリュイ・コンフィ）の製造工程を無料で見学できます。2月から8月にかけては、スミレやローズ、ジャスミンなどの花びらの砂糖漬け（コンフィ）の製造工程も見られます。さらに通年では、チョコレートやキャラメル、飴などの製造工程も見学可能です。

CONFISERIE FLORIAN DU VIEUX NICE　

住所 14, quai Papacino, 06300 Nice
電話 +33 (0)4 93 55 43 50

なお、秋冬シーズンはオフシーズンにあたるため、一部の施設が長期休館となり、また11月1日、11日、12月25日、1月1日の祝日には多くの店舗や美術館が休業しますのでご注意ください。ご訪問の際は、事前に観光案内所やホテルフロントで最新の営業情報をご確認いただくことをお勧めします。

☆ニース周辺のオリーブオイル製油所見学案内

コートダジュールの特産品、オリーブオイルの製造工程を見学できる代表的な施設をご紹介します。オリーブの収穫期である11月から3月は、各施設で地元産オリーブオイルの製造過程を間近でご覧いただけます。

・Alziari（ニース）住所318 Bd de la Madeleine Niceニースの伝統的な製油所で、ニースのお土産としてもおすすめのアルジアリブランドのオリーブオイルの製造工程を見学できます（要予約）。

・Huilerie Sainte-Anne　（グラース）住所138 Route de Draguignan 06130 GRASSE
伝統的な木製歯車と石臼を使用した製法を見学できる歴史ある製油所です（要予約）。

・Moulin à huile du Rossignol （グラース）住所 41 Chemin des Paroirs 06130 GRASSE
1760年に作られたオリーブオイルを作るひき石があります。現在は、洗練された新しい器具を使って作っています。オリーブオイルなどを作っている所を見学できます（要予約）。

⭐︎秋冬の注意点：営業時間と休館日について

ご注意いただきたい点として、秋冬シーズンには一部の施設が長期休館となることがあります。また11月1日、11日、12月25日、1月1日は祝日のため、多くの店舗や美術館が休業します。ご訪問の際は、観光案内所やホテルフロントで最新の営業情報をご確認いただくことをお勧めします。

１、美術館・礼拝堂の閉館日（2024年4月時点で確認した休館日）
サンポールのマーグ財団は年中無休
秋・冬は、美術館の展示物の入れ替え時期に臨時休館となる美術館もありますので必ず事前にご確認ください。

シャガール美術館：閉館日毎週火曜日、１月１日、５月１日、12月25日
マチス美術館：閉館日毎週火曜日、１月１日、イースターの日曜日、５月１日、12月25日
ニース・シェレ美術館：閉館日毎週月曜日、１月１日、イースターの日曜日、５月１日、12月25日
ルノワールの家：閉館日毎週火曜日、１月１日、５月１日、12月25日
ロザリオ礼拝堂（2024年から時間が変わりました）：閉館日：11月22日から12月12日まで、毎週月・日曜。開館日：火・水・木・金・土　3月1日–10月31日は 10:00–11:30、14:00-17:30、11月1日–2月28日は 10:00–11:30、14:00-16:30。

アンチーブ・ピカソ美術館：閉館日毎週月曜日、１月１日、５月１日、11月１日、12月25日

ルカネ・ボナール美術館：閉館日毎週月曜日、１月１日、５月１日、11月１日、12月25日、展示物の入れ替え時期

ヴィルフランシュ・シュル・メールサン・ピエール礼拝堂：閉館日毎週月曜日と火曜日、11月半〜12月半