冗談みたいに小さな自称「独立」公国セボルガ

フランスの国境近くにある自称独立公国「セボルガ」について紹介します。

*こちらのページは、観光ガイドの代わりとすることが目的ではなく現地ドライバーガイドの経験から便利で役に立つ情報を提供できたらという思いから作りました。
*お勧め情報はステファニーの個人的な意見です。

セボルガは、フランスの国境近くのイタリア共和国リグーリア州内にあります。 歴史的にイタリアに併合されてこなかったということで、イタリアからの独立を宣言し「セボルガ公国」を自称しています。王子、大使、大臣がいて、独自の通貨と切手もあります。しかし、実質的には「独立国」ではなく、市長や市議会は、イタリア共和国の政府のもので、住民は税金をイタリアに収めています。
日丸屋秀和氏の漫画『Axis powers ヘタリア』には様々な国々が登場しますが、「セボルガ公国」もセボくんとして登場しています!

⭐︎地理・人口

セボルガ公国の人口は300人程度で、フランスの国境近くのイタリアの町ボルディゲーラの上の丘の上標高517メートルに位置し、広さは14平方キロメートル、 モナコ公国(1.95平方キロメートル)の7倍となります。セボルガの砦が首都です。

⭐︎歴史

(セボルガが公表している歴史等の内容のまとめです)

紀元前5世紀頃に海賊がきた痕跡がありますが、紀元前2000年頃には人々が住んでいたと言われています。

紀元前250年頃には、ローマの支配下に入り「burga」という名前の植民地となります。住民たちは、ローマやローマ人に対して反感を持ち続けますが、ローマ市民となります。その後、リグリア地方は648年ロンバルド王によって征服されるまで東ゴート人やビザンティン人の侵略を受けます。8世紀の初め、侵略が増えてきたため、セボルガを含めたローマの「burga」は要塞を造ります。 770年にはフランク王国に併合され、カロリング王朝カール大帝の支配下に入ります。789年、カール大帝はセボルガを含む地域にヴァンチミリア伯を配置します。

セボルガ:レランス・サントノラ修道院の領地

954年4月、プロバンス伯ギヨームと共同でヴァンティミリア伯が侵入者からセボルガを解放しようとしている時、ヴァンチミリア伯は、セボルガの領地(14平方キロメートル)を当時プロバンス領であったレランス・サントノラ修道院に譲渡します。

1079年には、神聖ローマ帝国グレゴリウス7世の許可の元、レランス・サントノラ修道院長は、セボルガの公爵と名乗ります。実際には、公爵が選んだ村長が主導権を握り村をおさめています。

fresque-2凶作が続き、セボルガの財政状況が悪くなってきたため、セボルガ公爵は、1666年12月24日に打開策として独自の通貨(Luigini)を鋳造するために、造幣局をセボルガに設立することにします。1668年フランス王から正式に抗議を受け、造幣局を閉めます。財政状況が良くならないため、サントノラ修道士たちは、セボルガの売却を考えるようになります。

修道士セボルガを売る

1697年1月31日、レランス大修道院のMeyronnet公爵は、サルデーニャ王でサヴォイア王子のヴィットーリオ・アメデーオ2世へセボルガ領を売却するために契約書を作ります。しかしジェノバ共和国は、自国内に他国の領地が存在することになるのを避けようと交渉を長引かせようとします。フランス王ルイ14世、ヴァンチミリア司教、教皇にまで働きかけます。1723年に売却の交渉が再開され、1729年1月20日サルデーニャ王でサヴォイア王子のヴィットーリオ・アメデーオ2世の弁護士とレランス第修道院の財務担当者が、パリで売却契約にサインします。この公文書上では、セボルガの領地はサヴォイア公国の財政からではなく、王の個人的な資金で買い取ったという記録が残っています。30年かかりましたが、セボルガはサヴォイア家の保護領になります。

セボルガの人々は、その後の1861年イタリア統一、1946年イタリア共和国成立は一方的で不法な措置だったと主張しています。

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現在

1963年にGiorgio Carbone氏が、「王子」として選ばれ、セボルガの住民たちは、セボルガ公国はイタリアから独立していると主張します。1995年には新しい憲法を制定し、Luiginiというお金を発行しますが翌年中止されます。Giorgio Carbone王子は2009年に亡くなり、公開選挙でMarcello Menegatto氏が2010年からMarcello1世となります。7年ごとに再選挙がありますが、選挙の1年前の2016年2月にフランス人のNicolas Mutte氏が、自分こそセボルガ公国の王子、Nicolas王子だと宣言しメディアで話題になります。もちろんMarcello1世は、否定しています。

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⭐︎観光・お土産

春には黄色いミモザ、白いエニシダが周辺の野原に咲き、とても美しいです。オリーブの木々に囲まれた村からは、海岸の壮大な景色を眺めることができます。

村の入り口には、セボルガの守護聖人の聖ベルナールの小さな礼拝室があります。中心の広場には、最近復元されたフレスクがある聖マルタン教会があって、左側には以前修道士たちが住んでいた官邸、旧造幣局があります。村の周りには、以前の城壁の遺跡が残っていて、刑務所として使われていた場所も見学が可能です。村の中世の趣のある小道では、ゆっくり散歩ができます。 オリーブオイル製造農家も訪問できるところがあるそうです。

セボルガ公国のお金や切手も独自のものなので、お土産になりますし、観光客の外国人の私たちもセボルガ公国のパスポートを作ってもらうことができます!他には、セボルガのTシャツやマグカップ、ワイン、農家で作られたオリーブオイルなどもお土産やさんで買うことができます。passeport

(写真:セボルガ公国のパスポート)

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(写真:セボルガ公国の切手)

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(写真:セボルガ公国のお金)

⭐︎マイコートダジュールツアーでは、個人ではアクセスのしにくにセボルガ公国、イタリアのドルチェアクア、モナコ公国、フランスのマントンの4カ国を効率良く1日で訪問できる1日で4国巡りツアーを2017年4月から催行します。

⭐︎アクセス

フランスとイタリアの国境の街Ventimigliaから電車で10分弱のBordighera駅下車、そこから1日に4本の10番のバスに乗って30分でSeborgaに着きます。

⭐︎リンク

セボルガ公国公式サイト